目次
- ATS(採用管理システム)とは?
- 採用サイトとATSをつなぐ3つの方法とは?
- 1. ATSのウィジェットやiframeを埋め込む
- 2. フィードやAPIで求人を自社ページに同期する
- 3. ATSが用意する求人ページにリンクする
- 埋め込み、API同期、リンク:どれが良いのか比較すると?
- なぜ求人は自社サイトの「ページ」として載せるべきなのか?
- Googleしごと検索に表示するには何が必要?
- スマホからの応募はどこまで短くすべき?
- 中小企業はどの方法を選べばいい?
- ステップ1:求人の数を数える
- ステップ2:ATSのプランで何ができるか確認する
- ステップ3:応募の届け先を決める
- よくある質問
- iframeで埋め込んだ求人はGoogleに表示されますか?
- ATSがすでにGoogleしごと検索に掲載してくれていますか?
- 採用サイトとATSの連携に開発者は必要ですか?
- ATS連携付きの採用サイトの費用はいくらですか?
ATS(採用管理システム)に毎月お金を払い、担当者は毎日そこで応募者を管理している。それなのに、会社のホームページの採用ページは「履歴書は jobs@ まで」のまま。あるいは、ATSの求人ボックスが別のフォントで貼り付けてあって、Googleからはほとんど見えていない。そんなケースをよく見かけます。
結論から言うと、採用サイトとATSをつなぐ方法は3つあります。ATSのウィジェットを埋め込む、ATSのフィードやAPIで求人を自社サイトの正式なページとして表示する、ATSが用意する求人ページにリンクするだけ、の3つです。Googleから応募を集めたい中小企業や人材紹介会社なら、ご契約のプランが対応していれば、2つ目に費用をかける価値があります。
私は人材紹介会社のホームページを制作していて、各ATSで実際に何ができるのか、公式ドキュメントを読んで確認するのが日常です。以下はその内容です。ベンダーとGoogleの公式ドキュメントへのリンクも載せているので、ご自身でも確認できます。
この記事のポイント
- ATSは求人と応募者を管理する場所、ホームページは候補者が求人を見つける場所。問題は両者をどうつなぐか。
- リンクするだけが最速、埋め込みは手軽だが制約あり、API同期なら自社ドメインに求人ごとのページができる。
- Googleしごと検索は、求人ごとのページにあるJobPosting構造化データを読み取る。
- 応募の多くはスマホから。応募は短く、アカウント登録なしで。
ATS(採用管理システム)とは?
ATS(Applicant Tracking System、採用管理システム)は、求人票を作り、応募を受け付け、履歴書を確認し、「書類選考」「面接」「内定」といった段階ごとに候補者を管理するソフトウェアです。採用のための共有の受信箱と表計算シートのようなもの、と考えるとわかりやすいと思います。
代表的なものに、社内の採用チーム向けのGreenhouse、Lever、Workable、人材紹介会社向けのBullhorn、JobAdder、Vincereがあります。日本では、ビズリーチのHRMOS採用がよく使われています。
ATSは応募者の管理は得意ですが、ホームページの代わりにはなりません。だからこそ、両者のつなぎ方が大事になります。
採用サイトとATSをつなぐ3つの方法とは?
1. ATSのウィジェットやiframeを埋め込む
多くのATSは、採用ページに貼り付けるための数行のコードを用意していて、貼るとそこに募集中の求人が表示されます。Workableのヘルプでは、このウィジェットを「数行のコードをコピーしてサイトに貼り付けるだけ」と説明しています。一方で、Workableの採用ページにある検索・絞り込みバーはウィジェットには含まれず、必要なら自分で作る必要がある、とも書かれています。
Greenhouseにも、求人一覧と応募フォームをiframeで自社ページ内に表示する埋め込みがあります。Greenhouse自身のガイドでは、難易度は「かんたん」、所要時間は1時間から1日とされています。
2. フィードやAPIで求人を自社ページに同期する
この方法では、ホームページがATSから求人を読み込み、求人ごとに自社のデザイン・自社のドメインでページを作ります。応募はATSに送り返されます。
たとえばLeverには求人のAPIがあり、公開中の求人は誰でも読み取れますが、応募を送信するにはAPIキーが必要です。Greenhouseのガイドには、APIを使う構成がいくつか載っていて、難易度「中程度」(2〜4日)から、すべてをAPIで作る「最も難しい」構成(5〜8日)まであります。APIが使えるかどうかは契約プランによる場合があるので、事前に確認してください。
3. ATSが用意する求人ページにリンクする
ほとんどのATSは、ATS側のドメインに採用ページを用意しています。Greenhouseなら boards.greenhouse.io です。ホームページに「募集中の求人を見る」ボタンを置いて、そこへ誘導するだけ。Greenhouseはこれを「最もかんたん」な方法とし、所要時間は1時間未満としています。
埋め込み、API同期、リンク:どれが良いのか比較すると?
求人媒体だけでなく、検索から求人を見つけてほしい中小企業の立場で比べると、次のようになります。
| ウィジェット・iframeの埋め込み | フィード・APIで自社ページに同期 | ATSの求人ページにリンク | |
|---|---|---|---|
| SEO | 弱い。求人はATSのコードの中(多くはiframe)にあり、自社URLのページにならない | 強い。求人ごとに自社ドメインのページができ、JobPostingマークアップを付けられる | 評価はATSのドメインに行く |
| 見た目 | 一部だけ自社風。基本的な調整のみで、サイトの他の部分と雰囲気が変わりがち | 完全に自社のデザイン。検索・絞り込みも作れる | ATSのテンプレートにロゴを載せた形 |
| 手間 | 数時間〜1日 | 構築に数日、APIの変更時には保守も必要 | 数分 |
| 費用 | ATS以外はほぼかからない | 開発費。APIの利用はプランによる場合あり | ATS以外はほぼかからない |
| 流入元の記録 | ATSの機能しだい | 自由に設計できる。すべての応募に流入元を記録するなど | ATSの機能しだい |
手間の目安は、Greenhouseが公表している各連携方法の所要時間をもとにしています。他のATSでは異なります。
どれも間違いではありません。年に数回しか採用しないなら、リンクだけで十分です。人材紹介会社のように求人そのものが事業なら、表の1行目の差がそのまま機会損失になります。
なぜ求人は自社サイトの「ページ」として載せるべきなのか?
Googleには検索結果に求人をまとめて表示するGoogleしごと検索(英語ではGoogle for Jobs)があり、日本でも2019年1月に始まりました。ここに表示されるには、求人ページにJobPosting構造化データが必要です。職種名、会社名、勤務地などをGoogleに伝える小さなコードです。
Googleのドキュメントは、このコードを置く場所をはっきり決めています。JobPostingマークアップは「求人が1件だけ掲載されているページ」でのみ使うこと、求職者がブラウザで読める求人の説明と「同じページ」に置くこと、そして複数の求人を並べた一覧ページには付けないこと。
つまり、ウィジェットを貼った採用ページ1枚では条件を満たせません。埋め込みの場合、求人の詳細と応募フォームは多くの場合ATS側のページにあり、それを自社ページ内に読み込んでいるだけなので、Googleが求める「求人1件だけのページ」は自社のURLになりません。API同期なら、求人ごとに自社ドメインのページができ、そのページが検索に表示されます。
求人ごとのページは、Google以外でも役立ちます。LinkedInやメッセージでリンク1本で共有でき、AIアシスタントにも読み取って引用できる具体的な情報になります。詳しくはChatGPTやAIによる概要に自社を引用してもらう方法に書きました。
Googleしごと検索に表示するには何が必要?
Googleの現在のJobPostingドキュメントをもとにしたチェックリストです。
- 必須の項目:title(職種名)、description(説明)、datePosted(掲載日)、hiringOrganization(採用企業)、jobLocation(勤務地)。リモートの求人は、勤務地の代わりにapplicantLocationRequirementsでも可。
- 推奨の項目:baseSalary、employmentType、validThrough、directApply、identifier、jobLocationType、applicantLocationRequirements。候補者がよく見るのは給与と雇用形態です。
- 1ページに1求人。マークアップの内容は、画面に表示される内容と一致させる。
- 募集が終わったら取り下げる。Googleが挙げる方法は3つ:validThroughを過去の日付にする、ページを削除して404か410を返す、JobPostingマークアップを外す。
- 変更をGoogleに伝える。求人のURLについては、サイトマップよりIndexing APIを使うことをGoogleは推奨しています。新しい求人にも、取り下げにも使えます。
「取り下げる」の部分こそ、同期が役に立つところです。担当者がATSで求人を締め切れば、誰かが覚えていなくてもページも一緒に取り下げられます。
スマホからの応募はどこまで短くすべき?
今は多くの人がスマホから応募します。Appcastの2022年版ベンチマークレポートでは、2021年の求人応募の約67%がモバイル端末から完了していました(米国の調査です)。
スマホでは、入力欄がひとつ増えるたび、「アカウントを作成」の画面が出るたびに、応募者が離れていきます。良いスマホ応募は、名前、メールか電話番号、履歴書のアップロードだけを聞いて、あとは邪魔をしません。それ以外は最初の電話で聞けば十分です。
試しに、自社の求人をスマホで開いて、応募にかかる時間を計ってみてください。パスワードの作成や、履歴書の内容をフォームに打ち直す作業があるなら、まずそこから直すべきです。
中小企業はどの方法を選べばいい?
ステップ1:求人の数を数える
年に数件ならリンクだけ、少しでも自社サイトらしく見せたいなら埋め込み。常に何十件も募集している、または採用そのものが事業なら、API同期を目指しましょう。
ステップ2:ATSのプランで何ができるか確認する
ATSのヘルプで「API」「求人API」「採用ページ連携」などを探してください。プランによってAPIの利用を制限しているATSもあるので、作り始める前に確認します。
ステップ3:応募の届け先を決める
応募は、履歴書付きで、どこから来た候補者か(LinkedIn、Googleなど)の記録と一緒にATSに届くべきです。そうでないと、どの媒体にお金をかける価値があるのか判断できません。
これが、私の人材紹介会社のホームページ制作で作っている仕組みです。お使いのATS(Bullhorn、JobAdder、Vincereなど。ご契約プランのAPIアクセスによるので、お見積もりの前に確認します)から求人をそのまま表示し、スマホから60秒、アカウント登録なしで応募でき、求人ごとにJobPostingマークアップ付きのページを用意します。APIが使えない場合は、サイトの管理画面から求人を掲載でき、応募はメールでも届きます。
よくある質問
iframeで埋め込んだ求人はGoogleに表示されますか?
Googleのルールでは、JobPostingマークアップは求人の説明と同じページに、1ページ1求人で置く必要があります。採用ページにiframeのウィジェットを貼るだけでは自社URLでその条件を満たせないので、Google検索を重視するなら求人ごとにページを作りましょう。
ATSがすでにGoogleしごと検索に掲載してくれていますか?
場合によります。Googleは他社の求人サイト経由での掲載も認めていますが、その場合、検索結果のリンク先は自社ではなく相手のページです。ATSの求人ページがJobPostingマークアップを出しているかをATSに問い合わせるか、公開中の求人をGoogleのリッチリザルトテストで確認してください。
採用サイトとATSの連携に開発者は必要ですか?
リンクを張る、埋め込みコードを貼るだけなら不要です。API同期には必要で、ATSがAPIを変更したときに対応する人も必要になります。
ATS連携付きの採用サイトの費用はいくらですか?
必要な機能と、お使いのATSのAPIによって変わります。ホームページ費用の見積もりツールでおおよその金額がわかります。どのプロジェクトも、着手前に書面で固定見積もりをお出しします。
ATSの求人がそのまま載り、Googleにも表示される採用サイトをお考えなら、人材紹介会社のホームページ制作をご覧ください。